「病院」の地図記号の始まりとその変遷
地図記号の重要性
皆さん、地図を使う時に「地図記号」ってどう感じますか？地図を読み解く上で欠かせない要素で、私たちの日常生活に密接に関わっていますよね。
最近、地図には新たに「自然災害伝承碑」の記号が追加されたりと、時代とともに進化しています。
地図研究家の今尾恵介さんの言葉を借りれば、地図は「この世を記号化したもの」とのこと。
まさにその通りですね！今回は特に「病院」の地図記号の歴史をさかのぼり、明治時代から現在までの変遷を見ていきましょう。
避病院の誕生
病院に関する記号が初めて定められたのは『明治33年図式』。
この時代に設置された「避病院」の記号は、特に興味深い背景を持っています。
実は「避病院」という名は、江戸時代から流行していたコレラなどの感染症に備えて作られたのです。
例として、伊勢神宮へ向かう参詣客のために敷設された参宮線沿いには、「避病院前踏切」という名前の踏切がありますが、その周囲には現存する病院が見当たらないのは不思議ですね。
歴史の中の感染症との闘い
「避病院」という言葉の背後には、感染症に対する人々の苦闘が隠れています。
明治期に設立された避病院は、患者を隔離し、伝染の拡大を防ぐ役割を果たしていました。
時が経つにつれ、「伝染病院」と呼ばれるようになり、さらに「隔離病舎」と名を変えていったのです。
現在なら「感染症指定医療機関」がその役割を担っていますが、歴史を振り返ると、私たちは長い間感染症に向き合ってきたことを実感します。
地図記号の変化から考えること
「避病院」という用語が使われなくなった理由も、当時の医療の限界を物語っています。
実際には生き残れなかった患者も多く、加えて江戸弁によって「死病院」と聞こえたことから、使いにくくなったのではないかとも言われています。
このように、地図記号にはただのマークの裏に深いバックグラウンドがあるのです。
現代においても、感染症は身近な存在であり、かつての「避病院」の考え方がいかに現代に生き続けているかを考えさせられますね。
地図が語る歴史の物語
地図記号は、ただのシンボルではなく、歴史や社会の変化を語る物語そのものです。
「病院」の地図記号も、私たちが感染症とともに過ごしてきた歴史の一部を担っていることに気づかされます。
このような視点で地図を見ることで、単なる道案内以上の意味を持つことを理解できるのではないでしょうか。
これからも地図を眺める際は、その背後にあるストーリーを思い浮かべながら楽しんでみてください。
