瀬戸内で見つけた自分の居場所
都会の違和感からの脱却
都会生活を送る中で、どこか違和感を感じていた中西和也さん。
彼が抱いていた心の奥底の葛藤が、海と島の魅力に導かれることとなります。
大学では建築を学び、会社勤めから背を向けるきっかけとなったのは、利益至上主義への反発でした。
自分の居場所を探し続け、悶々とした日々を過ごしていた彼が見つけたのが、“いえしまコンシェルジュ養成講座”への参加でした。
ここから、彼の運命が大きく変わることになります。
感動の第一歩が、彼を家島という美しい場所へと導いたのです。
家島との出会い
播磨灘に浮かぶ小さな家島は、自然の豊かさとともに、地域の人々の温かさが漂う場所です。
初めての訪問で、中西さんは抱いていた先入観が喧騒と共に消え去り、明るくパワフルなおばちゃんたちが待つ活気ある港の光景が広がりました。
ここでは新鮮な海の幸を楽しめる居酒屋や、賑やかな下町のような路地裏が広がっていて、子供たちの声が元気に響き渡ります。
特に、世話好きなおばちゃんたちの存在が、「島の最大の魅力」であり、多くの訪問者が心を奪われる要因のひとつであることに、中西さんも深く共感したことでしょう。
彼が感じたその魅力が、移住を決断させる大きな要因となりました。
新たな挑戦と地域貢献
移住後、中西さんは忙しい日々を送りながら、地域と密接に関わり続けました。
特産品やお土産の開発、観光ガイドの創設、さらには移住サポートを行うなど、彼の活動は多岐にわたります。
年間500人もの観光客を案内する中で、路地裏歩きや地元の人々との交流が人気を博し、リピーターも増えていくのです。
何より彼の心の中にあるのは、地域の未来を守り、そこでの暮らしを次の世代へとつなげていくという使命感です。
今や賑やかになったカフェやテラスハウスも、彼の努力の賜物と言えます。
意識の変化とこれからの道
かつて中西さんはお金儲けにあまり関心がなかったものの、今ではコンシェルジュの会社を通じて地域に貢献しながら、利益も追求しなくてはならないことを学びました。
移住した社員たちのためにも、企業を持続可能な形で成長させる必要があると感じるようになったのです。
それによって、彼自身のビジョンが一層明確になり、責任感を持って未来を切り開こうという意識が強まったことでしょう。
10年の時が経った今、迷いなく進むその姿からは、強い決意と信念が感じられます。
未来への希望と共に
中西さんが家島で見つけた自分の居場所は、ただの地理的な位置ではなく、地域と人々との深い結びつきから生まれたものです。
彼の物語は、地元の人々と共に未来を築き、次の世代へ伝えていくという希望に満ちています。
多くの人が都市に戻ることを考える中で、彼のように地方に新たな場を見出し、地域を元気にしていく挑戦について考えるきっかけとなれば幸いです。
あたたかい人々とともに生き生きとした日々を送る中西さんの姿に、多くの共感と励ましを受け取ることでしょう。
これからも彼の取り組みが続いていくことを、心より願っています。