思い出が息づく場所としてのリニューアル
長崎市油屋町にそびえる一角、4階建てのビルは、かつては銭湯として地元に愛されてきた場所です。
そこで新たに誕生したのが、松尾茂子さんと孫の綾さんによるホテル兼カフェ「ksnowki(くすのき)」。
茂子さん(84)は、優しさ溢れる声で旅行者を出迎え、彼女の長年にわたる生活の歴史を感じさせます。
「お客さんですよ」という言葉には、訪れる人々への思いやりが込められています。
想い出溢れる空間が、今再び人々の集まる場所になったのです。
祖父母の思い出を紡いで
茂子さんは小学4年生の時に、銭湯だった家に移り住みました。
地元の人々に親しまれ、約40年前に営業を終えるまで、たくさんの温もりと思い出を生んできたのです。
銭湯の思い出が詰まったこの場所を、綾さんがリニューアルすることになった時、茂子さんの胸には祖父母への感謝の思いが強く芽生えました。
「ご先祖さまも喜んでくれるだろう」との言葉には、この場所が持つ歴史への敬意が表れています。
新しい時代への挑戦
「ホテルとカフェを開きたい」という孫の綾さんの提案に、茂子さんは心から賛同しました。
リニューアルされた空間は、スタイリッシュな客室と温もりあるカフェが調和し、訪れる人々には安心感とくつろぎを提供しています。
穏やかな雰囲気の中で、茂子さんは来客との会話を楽しむことが彼女の大切な役割。
昔話に花を咲かせ、思い出を共有することで、客たちの心にも触れています。
こうした場所での安心感こそが、訪れる人々を惹きつける要因のひとつでしょう。
日常の中の温もり
茂子さんの朝は、穏やかに始まります。
朝食を済ませ、テレビを眺めながら、昔家族と訪れた旅行先の映像に思いを馳せるひとときは、彼女にとって特別な時間です。
新聞を読み、友人と電話をすることも日課の一環。
日々の生活の中に息づく思い出やつながりが、彼女の心を豊かにしています。
そして夜には孫の綾さんと共に晩ご飯を囲み、日々の出来事を語らうのです。
これが、彼女の穏やかな日常なのです。
心地よい場所での贅沢なひととき
店名「ksnowki」の由来は、かつての銭湯と「くらすをのんきに」というコンセプトにあります。
この場所は、のんびりとした時間が流れ、訪れる人に心地よい安らぎを提供しています。
「ゆっくり暮らしたい」という思いが込められたこの場所で、茂子さんはお客様を心温かく迎え入れます。
長崎の街、そして彼女の人生の深い部分が息づくこのカフェで、訪れる皆様もぜひ素敵なひとときを過ごしてみてください。
そこには、思い出が語りかけるような温もりが待っていることでしょう。